まんぷく丸の主力商品のひとつが中尾食品のお惣菜。その数２０品目以上で輪島市の大型スーパーワイプラザ、さらに金沢市の大手スーパー、カジマートにまで販路を持つ実力派だ。隣の穴水町のいろはストアーにはテナント店舗があり社長の和仁さん(５０歳)がおもに弁当販売をおこなっているそうだ。しかし地震で胡麻豆腐を作る機械が全損し、照明器具や設備も被害を受けた。６人いた従業員も全員被災していなくなってしまった。原材料も入荷できない日がつづいたという。現在は会長の雅夫さん(７５歳)、妻のかおるさん(７４歳)にパート３人が加わり工場を再開している。惣菜を納めてもらうのはムリ、という思いがよぎったが門前町の被災したお年寄りから「まんぷくさんが来てくれたら家に帰るんや。はよ、来てね」といわれたことに元気をもらい、仕入の申し入れをしたそうだ。すると、中尾食品からは早朝の配達もＯＫとの返事が。残念なのは人気だった胡麻豆腐を作れなくなったことだが、それでも昆布巻き、煮しめ、厚揚げの野菜あんかけ、カボチャ煮など１５、６品が復活し、市販品にはない素朴で優しい昔ながらの中尾の味は健在だ。製造が追いつかず従業員を募集している中尾食品だが「一刻も早く以前のようにたくさんのお惣菜を作ってほしい」とは利用客のおじいちゃん、おばあちゃんからの要望まであります。
