輪島市朝市通り近くに店を構える創業80年以上の「藤田総本店」、市内唯一の能登牛の認定販売店だ。上質な生肉が売りで、注文を受けてからスライスやミンチにしてくれる。揚げ物も種類が豊富で、「藤田のコロッケ」といえは輪島市民なら誰もが口にしたことがある長年愛されてきた味だ。またウズラの卵やウインナーを串揚げにした「かかし」はテレビの全国放送でも取り上げられ輪島のソウルフードとして有名に。しかし、地震時は数十メートルまで火の手が迫り、入り口のガラス扉は割れ、肉を切る機械が倒れて器材が散乱。水も電気も止まってしまい失意のドン底に。それでも4代目の藤田眞也さん(33歳)は、自宅そばの井戸水を見つけて水質検査をクリアし、2月下旬に営業を再開した。その日は心待ちにしていた市民が列をなしていたそうだ。「昔からの味で心を安らげてもらい、いつもの日常に」と願う眞也さん、現在は母の由香里さん(54歳)とふたりで店を取り仕切っている。そのため店を開けるのは午前11時から。が、「地元の力になりたい」9時出発のまんぷく丸に合わせて早朝から揚げ物や生肉を用意し配達してくれている。